外国人が接待を行う風俗営業店のなかでも、フィリピンパブはよく知られているのではないでしょうか。ここでは、フィリピンパブの営業許可を取得する流れや接待の在り方、そしてフィリピン人雇用に際し注意したい在留資格について説明していきます。
フィリピンパブの許可申請の流れ
フィリピンパブでは、フィリピン人スタッフが客の横に座って談笑したり酌をしたりするサービスを楽しむことができますが、これらは風営法に定められる接待行為に該当します。したがって、開業にあたっては、風俗営業1号営業許可と飲食店営業許可の2つを取得する必要があります。これらの許可を申請する流れを、大まかに辿ってみましょう。
許可申請の大まかな流れ
- 申請者が人的欠格要件を満たしているか確認する
- パブを開業する物件を決める
- 物件エリアが許可要件に沿っているか調査を行う
- 店舗の構造が許可要件に沿っているか現地確認を行う
- 物件の契約
- 必要書類の収集と申請図面作成のための測量実施
- 保健所に対し飲食店営業許可を申請
- 警察署に対し風営法許可を申請
- 保健所および警察による立ち入り検査
- 飲食店営業許可風俗営業許可がおりる
あとから指摘を受けることのないように、開業計画を立てる段階から、建築エリアが風営法および地域条例により許可されている場所であることをきちんと確認しておく必要があります。なお、飲食店営業が許可されたあとのタイミングで風俗営業許可がおりますので、いずれの許可についても不備なく申請を進められるよう慎重な準備が必要になってくるでしょう。
接待の有無の確認とフィリピン人スタッフの在留許可に注意
もし、フィリピンパブ内で接待行為がない場合、深夜酒類提供飲食店として営業することができますが、接待行為がある場合は風営法の規制の対象になるため、たとえば札幌の指定エリアでは午前1時までしか営業が認められません。接待行為の有無は警察の判断に委ねられているところが大きいため、ボックス席があれば接待があると見なされる可能性が高くなりますし、カウンター席しかない場合でもカウンター越しの接待があるとみなされるかもしれません。
フィリピンパブというくらいですから、スタッフはフィリピン人であり、客はフィリピン人スタッフとのコミュニケーションを期待して来店することが想像され、そこに接待が生じると判断されても不思議はないといえるでしょう。特にスナックの場合は、カラオケ設備を設けている店舗が多くみられることから、客とフィリピン人スタッフとのデュエットが行われることも考えられます。これらの要素を踏まえれば、はじめから風俗営業許可を申請し、やましいところがない状態で営業していくことが望ましいといえます。
フィリピン人スタッフの在留資格は必ず確認を
外国人が日本で就労するためには、就労が認められる在留資格を持っていなければなりません。フィリピン人の在留カードを必ず確認し、正規の労働者として雇い入れることができるよう、十分に注意しましょう。
雇用可能なフィリピン人(在留資格)
- 日本人と結婚しているフィリピン人(配偶者ビザ)
- 永住者と結婚しているフィリピン人(配偶者ビザ)
- 永住者(永住者ビザ)
- 定住者(定住者ビザ)
雇用できないフィリピン人(在留資格)
- 留学で日本に滞在しているフィリピン人(留学ビザ)
- 難民として日本に滞在しているフィリピン人(難民申請ビザ)
- 不法滞在しているフィリピン人(オーバーステイなど)
まとめ
基本的に、フィリピンパブには風俗営業許可の申請が不可欠だと考えられますが、個々の店の業態や営業エリアによって規制内容は変わってきます。できるだけ、風営法や出店エリアのローカルルールに詳しい専門家のサポートを受けながら、開業の準備を進めていくことをお勧めします。当事務所では、風営法に詳しい警察OBを含むスタッフと経験豊富な行政書士が対応しますので、まずはお気軽にご相談ください。