キャバクラやデリヘルなどの風俗店において外国人を雇用することはできるのでしょうか。外国人採用に関しては出入国管理法がかかわってくるため、理解や対応が若干難しくなる傾向があります。ここでは、外国人を雇用するうえで風営法出入国管理法がどう関わってくるか説明していきます

 

風俗営業に係る風営法・外国人雇用に係る出入国管理法

風俗営業を行う店舗のなかには、外国人スタッフを雇用し接客サービスを行うところもあります。そのような営業形態を採用したい場合、やはり気になるのは「風俗営業で外国人を雇用できるのか?法律的に問題はないのか?」という点でしょう。

 

覚えておきたいのが、風営法はあくまでも風俗営業を行うための許可申請に関する根拠法であり、外国人雇用について適用されるのは出入国管理法であるという点です。したがって、風俗営業店で外国人を雇用したい場合は、出入国管理法に照らし合わせて確認を行わなければなりません。雇用しようとする外国人のパスポートや在留カードの記載事項から、どのような在留資格を持っているか、就労制限がないか、しっかりチェックしましょう。

 

外国人の雇用制限に注意

確認するべき箇所は、外国人の在留カードの「就労制限の有無」欄です。当該欄に「制限なし」と記載されていれば、一般的な仕事にも風俗関係の仕事にも就くことができます。「制限なし」とされる在留資格には種類があり、永住者/特別永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等の4種類です。これらの在留資格を持っていることが確認できれば、キャバクラなどの風俗営業店で外国人を雇用することが可能なのです。

 

外国人が雇用側ではなく経営側である場合も、上記在留資格を持っていれば経営者となることができます。

 

永住者と特別永住者の違い

永住者も特別永住者も、日本に永住できる許可を持っている点では同じ身分ですが、特別永住者は次の点において許可の前提が大きく異なっています。


「特別永住者」は、1991年施行の「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に基づき、敗戦により日本人としての国籍を失った在日韓国人などの定住環境を保護する目的があります。

※参照:日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法


 

 

不法就労にならないよう細心の注意が必要

在留カードの「就労制限の有無」欄に「就労不可」あるいは「就労制限あり」と記載されている場合は、風俗営業店に限らず外国人を雇用することはできません。資格外活動許可を持っていたとしても、キャバクラなどの風俗営業店やデリヘルなどの性風俗特殊営業店には適用されず、外国人を雇用することはできないので注意しましょう。

 

なお、以下に当てはまるような「不法就労に該当する外国人」を雇用しないよう、営業者としては十分に注意するようにしましょう。「うっかり確認を怠った」では理由にならず、不法就労助長罪として入管法違反に問われます。

 

  • 日本への不法入国やオーバーステイの事実があり、外国人が正規の在留資格を持たない場合
  • 在留資格を持っている外国人でも、資格外活動の許可を取らずに就労している場合
  • 興行の在留資格で在留している外国人が接待を行っている場合 など

 

本来であれば働くことができない風俗営業店や性風俗特殊営業店で外国人が就労してしまい、これが入国管理局に発覚した場合、外国人は深刻な不利益を被ることになります入管法違反として有罪になれば、退去強制手続き(強制送還)にいたることになりますし、当然ながら在留許可自体も取消となってしまいます

 

出入国管理法違反による処罰

出入国管理法第70条では、資格外活動違反と見なされた場合、該当者に対し3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科に処されます。

 

まとめ

特に接待を伴う風俗営業店や性風俗特殊営業店では、外国人の容姿を重視し肝心の在留許可をよく確認しないまま雇用してしまう例がたびたびみられます。せっかく風営法を守って開業したとしても、入管法違反という事態を招いてしまいかねません。

 

当事務所であれば、風営法に詳しい警察OBを始めとするスタッフや、外国人の在留許可関連業務の経験が深い行政書士が対応しますので、まずは一度ご相談ください。後々大きな問題とならないよう、雇用前の段階で行動されることをお勧めします。