飲食店スタッフがメイドの制服で接客してくれるメイドカフェ。そのサービス内容によっては、接待行為を行う風俗営業店であるとみなされます。ここでは、メイドカフェの開業にあたり申請が必要な許可について説明していきます

 

接客と接待の違い

メイドカフェの店員がどのようなサービスを行うかによって、メイドカフェが「接待を伴う店舗」かどうかが左右されます。接待があると見なされれば、風俗営業許可を申請し取得しなければなりません。では、接客と接待は具体的にどのような違いがあるのでしょうか

 

接客とは

飲食店の店員がメニューの説明をしたりレジで会計を行ったりする行為は、風営法における「歓楽的雰囲気」を伴いませんので、接客として扱われます。歓楽的雰囲気の定義については、次の「接待とは」で説明を加えます。

 

接待とは

風営法における接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を指しています。営業者や店舗スタッフとの会話やサービスを含め、客が慰安や歓楽を得られると期待して店を訪れるような場合、その店には歓楽的雰囲気があるとみなされるでしょう。そういった客の心境に応えるために、営業者やスタッフから積極的に特定の相手に向けて行われるサービスには、以下のようなものが挙げられます。

 

  • 特定の客にはべり、客の気を惹き付けるような会話を行う
  • 客に対して酌をする
  • デュエットや手拍子、褒めはやしなどの行為を行う
  • 客とともにゲームなどを行う
  • 客の口元まで料理を運ぶ
  • 客の隣に座るなど必要以上にスキンシップを取る
  • 歌やダンスを客に鑑賞させる

 

このように考えると、メイドカフェで一般的に行われているような「オムライスにケチャップをかけてあげる行為」や「客と一緒にジェスチャーを楽しむ行為」なども、接待として見なされることになるでしょう。

 

メイドカフェ開業のために必要な許可申請

メイドカフェは飲食店に該当しますので、保健所に対し飲食店営業許可申請を行う必要があります。札幌市の場合は、市ホームページに記載されている流れに沿って手続きを行います。

 

飲食店営業許可(札幌市)

以下、札幌市ホームページより抜粋します。

 


【営業許可等について】

許可を受ける営業施設は、全業種に共通の【共通基準】と、業種ごとの【業種別基準】に適合する必要があります。施設の基準は以下に掲載していますが、詳しくは事前相談時に担当窓口の職員にお尋ねください。

 

※申請から許可まで飲食店で14日、製造業で21日程度の審査期間がかかります。営業開始日に余裕をもってご申請ください。

 

1.事前相談

工事に入る前に、施設の平面図を持参し担当窓口でご相談ください。

設備構造だけでなく調理や製造の工程についても確認させていただきますので、製造業の場合はできる限り製造フローシートなどの資料もお持ちください。

 

【担当・申請窓口】札幌市保健所又は各区保健センター

 

2.申請書類の提出

 

【営業許可申請】

以下の書類を窓口にご提出いただくか、インターネットから申請してください。(手数料は、別途窓口でお支払いください。)

 

【申請に必要なもの】

  1. 営業許可申請書(インターネット申請の場合、フォームに入力)
  2. 店舗平面図(設備器具の名称・寸法がわかるもの)
  3. フロア全体図(施設が集合ビル内などにある場合)
  4. 製造フローシート(製造業の場合)
  5. 水質検査成績書(コピー)(水道水以外の水を使用している場合。1年以内のもの)
  6. 食品衛生責任者又は食品衛生管理者の資格を証明するもの(コピー可)
  7. 食品衛生管理者選任届(管理者設置施設の場合※)

 

【インターネット申請】

食品衛生申請等システム(厚生労働省)

 

3.手数料納入

窓口申請の場合は書類提出時に、インターネット申請は申請後に窓口で、現金で手数料を納入してください。(インターネットから手数料の納入はできません。)

 

4.施設検査日時の打合せ(許可申請後に施設検査の日時を決めます。)

 

5.施設の確認検査

検査の際は、原則、申請者が立ち会って下さい。施設基準に適合しない場合は許可になりません。不適合事項については改善し、再検査を受けてください

 

6.許可証の交付

施設基準適合確認後、許可証を交付します。交付までは数日かかります。

営業許可には有効期限(5年~8年:施設材質の耐久性等により査定)があります。

【注意】

※「営業許可証」と「食品衛生責任者の氏名」(プレートなど)を、外来者から見やすい場所に掲示してください。

※施設に「HACCPに沿った衛生管理のための手引書」を備え付けてください。

(食品営業者は法に規定された衛生管理の基準を遵守する必要があります。原則すべての食品等取扱事業者に、「HACCPに沿った衛生管理」の実施が求められますので、手引書は厚生労働省のホームページに掲載されていますので、詳しくはこちらのページ【HACCPに沿った衛生管理の制度化】をご覧ください。)

※札幌市ホームページより


 

風俗営業1号許可申請

メイドカフェで接待を行う場合は、風俗営業1号許可を取得しなければなりません。風営法に基づき、申請手続きを行いましょう。

 

  1. 用途地域の確認と近隣の保全対象施設の調査
  2. 飲食店営業許可の取得
  3. 営業所の構造・設備の確認と測量
  4. 必要書類・添付書類の収集と作成
  5. 許可申請
  6. 警察による立入検査
  7. 営業許可(申請から約2か月)
  8. 営業開始(許可前営業は違法です)

 

許可申請に必要となる書類

  • 風俗営業許可申請書
  • 営業の方法
  • 住民票の写し
  • 欠格事項に該当しない旨の誓約書
  • 誠実に業務を行う旨の誓約書
  • 身分証明書
  • 登記されてないことの証明書
  • 営業所使用権原を証明する書類
  • 賃貸契約書の写し
  • 営業所の使用承諾書
  • 建物登記簿謄本
  • 違法建築物でない旨を疎明する書類
  • 用途地域を証明する書類
  • 各種図面
  • 営業所周辺の概略図
  • 営業所の配置図
  • 求積図
  • 照明・音響・防音設備の配置図
  • 飲食店営業許可証の写し
  • 管理者の写真(2枚)
  • 料金表・メニュー表の写し
  • 定款・登記事項証明書(法人)

 

まとめ

メイドカフェを開業したい場合、業種の性質上、客に接待を提供することになると考えた方が無難でしょう。その場合、飲食店営業許可と風俗営業1号許可の申請が必要になりますので、あらかじめこれら許可に関する情報を集め、関連法を理解し、手続きに入ることが大切です。

 

しかし、法律や手続き関係は一般的に馴染みのないものであるため、自力で行うには難しい面があるかもしれません。当事務所では、風営法に詳しい警察OBを始めとするスタッフや、飲食店営業許可申請を含めた経験豊富な行政書士が対応します。ぜひ一度ご相談いただき、正しく開業準備を進めていくことをお勧めします。