女性がカウンター越しに酒類を提供してくれるガールズバーは、お店のジャンルとしてとても人気があります。そこに注目してガールズバーを開業しようとする場合、法律に則って許可を取り届出を行い、違反なくスタートを切ることができるよう準備しなくてはなりません。ここでは、ガールズバー開業に必要な手続きや違法となるケースについて説明していきます

 

ガールズバー開業に必要な許可

ガールズバーは分類上「飲食店に当たりますが、カウンター内で飲食物を用意したり客に提供したりするスタッフが女性である点において特徴的です。接待行為がなければ風営法による規制を受けることはありませんが、夜間に営業する飲食店である以上、許可を得る必要があります。

 

飲食店営業許可

飲食店を開業するためには、都道府県知事による許可が必要になります。ガールズバーも飲食店ですから、店舗所在地を管轄する保健所に許可申請を行わなければなりません。たとえば札幌市でガールズバーを開業しようとする場合、以下の流れにそって手続きを行うことになります。以下、札幌市ホームページより抜粋します。

 


【営業許可等について】

許可を受ける営業施設は、全業種に共通の【共通基準】と、業種ごとの【業種別基準】に適合する必要があります。施設の基準は以下に掲載していますが、詳しくは事前相談時に担当窓口の職員にお尋ねください。

 

※申請から許可まで飲食店で14日、製造業で21日程度の審査期間がかかります。営業開始日に余裕をもってご申請ください。

 

1.事前相談

工事に入る前に、施設の平面図を持参し担当窓口でご相談ください。

設備構造だけでなく調理や製造の工程についても確認させていただきますので、製造業の場合はできる限り製造フローシートなどの資料もお持ちください。

 

【担当・申請窓口】札幌市保健所又は各区保健センター

 

2.申請書類の提出

 

【営業許可申請】

以下の書類を窓口にご提出いただくか、インターネットから申請してください。(手数料は、別途窓口でお支払いください。)

 

【申請に必要なもの】

  1. 営業許可申請書(インターネット申請の場合、フォームに入力)
  2. 店舗平面図(設備器具の名称・寸法がわかるもの)
  3. フロア全体図(施設が集合ビル内などにある場合)
  4. 製造フローシート(製造業の場合)
  5. 水質検査成績書(コピー)(水道水以外の水を使用している場合。1年以内のもの)
  6. 食品衛生責任者又は食品衛生管理者の資格を証明するもの(コピー可)
  7. 食品衛生管理者選任届(管理者設置施設の場合※)

 

【インターネット申請】

食品衛生申請等システム(厚生労働省)

 

3.手数料納入

窓口申請の場合は書類提出時に、インターネット申請は申請後に窓口で、現金で手数料を納入してください。(インターネットから手数料の納入はできません。)

 

4.施設検査日時の打合せ(許可申請後に施設検査の日時を決めます。)

 

5.施設の確認検査

検査の際は、原則、申請者が立ち会って下さい。施設基準に適合しない場合は許可になりません。不適合事項については改善し、再検査を受けてください

 

6.許可証の交付

施設基準適合確認後、許可証を交付します。交付までは数日かかります。

営業許可には有効期限(5年~8年:施設材質の耐久性等により査定)があります。

【注意】

※「営業許可証」と「食品衛生責任者の氏名」(プレートなど)を、外来者から見やすい場所に掲示してください。

※施設に「HACCPに沿った衛生管理のための手引書」を備え付けてください。

(食品営業者は法に規定された衛生管理の基準を遵守する必要があります。原則すべての食品等取扱事業者に、「HACCPに沿った衛生管理」の実施が求められますので、手引書は厚生労働省のホームページに掲載されていますので、詳しくはこちらのページ【HACCPに沿った衛生管理の制度化】をご覧ください。)

※札幌市ホームページより


 

 

深夜酒類提供飲食店営業開始届出

接待のないガールズバーを開業し、その営業時間が深夜帯におよぶときは、深夜酒類提供飲食店として届出を行うことになります。

 

ガールズバー営業が違法となるケース

接待のないガールズバーであれば風俗営業許可は必要ありませんが、以下に挙げる点など注意しなければ、違法営業として摘発されるおそれがあります。

 

  • 18歳未満の者の労働

労働基準法に基づけば、夜22時から朝5時までの間に18歳未満の者が労働することを禁じています風営法においても、18歳未満の者をスタッフとして雇用したり客として迎え入れたりすることはできません。この点が守られていない場合、違法営業とされます。

 

  • 接待行為の有無

接待のない営業であるとして風俗営業許可を取らなかったにもかかわらず、スタッフと客が同じ席に座り酌をしたりゲームなどを行ったりしている場合も、違法行為として見なされる可能性があります

 

違法営業として摘発されないためには、店の営業スタイルや営業時間を明確にし、適切な許可や届出を行うことがとても大切です。

 

まとめ

ガールズバーを開業しようとする場合、飲食店営業許可はもちろん、深夜帯まで営業する場合は深夜酒類提供飲食店として届出を行わなければなりません。複数の法律が適用され、それぞれについて許可や届出が必要になることから、開業準備の時点から該当する法律や条例についてしっかりと確認しておくことが求められます。

 

当事務所であれば、風営法に詳しい警察OBを始めとするスタッフや、飲食店営業許可申請を含めた経験豊富な行政書士が対応します。ぜひ一度ご相談いただき、正しく開業準備を進めていくことをお勧めします。