昨今急増しているデリヘル(デリバリーヘルス)は、性風俗特殊営業のうち無店舗型性風俗特殊営業というジャンルに属します。ここでは、デリヘルが急増した背景事情と届出を行ううえでの注意点について説明していきます。

 

デリヘルが急増した背景に「場所的規制」

昨今、デリヘルは急増の傾向にありますが、その背景には、新たに店舗型性風俗特殊営業を開業することが非常に難しくなってきたという事情があります

 

そもそも、性風俗特殊営業は以下の3つに大きく分類されます。

  • 店舗型:ソープランド・ストリップ・ラブホテル・ヘルスなど
  • 無店舗型:デリヘルなど実店舗でのサービスを行わない派遣型の性風俗サービス
  • 映像送信型:アダルトサイトなど

 

なかでも店舗型で新規開業することが困難な理由として、風営法における場所的規制が非常に厳しいから、という点を挙げることができます。

これに対し、無店舗型性風俗特殊営業では店舗型ほど厳しい場所的規制を受けないことから、デリヘル開業を選択する人が増えたのだと考えられます

 

デリヘルを開業するための準備と届出

では、デリヘルを開業するためにはどのような準備が必要でどのような届出を行うことになるのでしょうか。風営法では、無店舗型のデリヘルについて、以下のように定めています。

 

第三十一条の二 無店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、無店舗型性風俗特殊営業の種別(第二条第七項各号に規定する無店舗型性風俗特殊営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業の本拠となる事務所(事務所のない者にあつては、住所。以下単に「事務所」という。)の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

二 当該営業につき広告又は宣伝をする場合に当該営業を示すものとして使用する呼称(当該呼称が二以上ある場合にあつては、それら全部の呼称)

三 事務所の所在地

四 無店舗型性風俗特殊営業の種別

五 客の依頼を受ける方法

六 客の依頼を受けるための電話番号その他の連絡先

七 第二条第七項第一号の営業につき、受付所(同号に規定する役務の提供以外の客に接する業務を行うための施設をいう。以下同じ。)又は待機所(客の依頼を受けて派遣される同号に規定する役務を行う者を待機させるための施設をいう。第三十七条第二項第三号において同じ。)を設ける場合にあつては、その旨及びこれらの所在地

※風営法第2条第7項

 

無店舗型の場合は、事務所となる拠点住所を管轄する警察署(公安委員会)に対し、営業開始の10日前までに「営業開始届出書」を提出しなければなりません。これにより、無店舗型性風俗特殊営業が可能となるのです。届出に際し、以下の点を十分に確認し不備のないように準備しましょう。

 

届出確認書の保管

営業開始届出書を提出し受理されると、公安委員会から届出確認書の交付を受けることになります。今後、警察の立ち入り検査などを受けた際に提示を求められるものですので、大切に保管しておきましょう。

 

営業拠点(事務所)

無店舗型のデリヘルを営業するためには、店がない代わりに事務所となる拠点を定めておく必要があります。営業者の自宅を事務所としてもいいですが、賃貸物件の場合は物件所有者から事務所として利用する旨の使用承諾書をもらうことが不可欠です。スタッフを待機させておくための待機所についても同様です。

 

ホームページによる広告および集客

デリヘル店として営業するためには、ホームページによる広告や集客は欠かせません。ホームページを設ける場合は、サイトのトップページに18歳未満の者による閲覧・利用を禁止する旨を明記しましょう

 

まとめ

実際にインターネット検索をしてみるとわかりますが、札幌の風俗店のなかでもデリヘルの数は非常に多いことがわかります。店舗型よりも経費がかかりませんので、参入のハードルが低いこともメリットになっているのでしょう。

 

ただし、無店舗型性風俗特殊営業として不備なく環境を整え、警察(公安委員会)への届出を滞りなく済ませるためにも、風営法に詳しい専門家への相談を積極的に行うべきだといえます。当事務所では、警察OBを始めとするスタッフや経験豊富な行政書士が対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。