風営法に関連する北海道特有の条例として、通称「ススキノ条例」がよく知られています。札幌で風俗営業許可を得るために、ここでは、ススキノ条例についてより理解を深め注意点にもフォーカスしていきます

 

ススキノ条例が生まれた背景

ススキノ条例の正式名称は「札幌市公衆に著しく迷惑をかける風俗営業等に係る勧誘行為等の防止に関する条例」といいます。

 

従来、札幌市ススキノ地区などの繁華街では、性風俗店での勤務やアダルトビデオなどへの出演勧誘を行う黒服の男性スタッフが頻繁に見られ、これをカラス族とよんでいました。また、街中の店舗などに掲げられた看板などには、卑猥な接待を連想させ客を誘う行為や、卑猥な広告物を掲示した風俗店無料案内所の存在が数多く確認されていたのです。

 

ある種の迷惑行為ともとれるこれらの状況について、当時の法整備状況では取り締まりを行うことが困難であった一方、地域住民のアンケート調査でも大部分の人がこのような行為に対して何らかの対策をとるべきであると考えていることがわかりました。結果としてススキノ条例とよばれるローカルルールが制定され、罰則付きで特定の行為を禁止することとなったのです。

 

ススキノ条例の目的や禁止事項など

ススキノ条例の第1条では、地域住民や観光客などを含む公衆に対する迷惑行為を禁止する旨が述べられています。

 

「この条例は、市民や観光客などの安全で安心な生活環境を確保するために、公衆に著しく迷惑をかける風俗営業などに係る勧誘行為などを禁止します。」

※札幌市ホームページより

 

また、第2条・第3条・第4条では、性風俗店などに関連した勧誘行為を禁じています

 

「市長が指定する一定の区域内の公共の場所では、不特定の人に対して、ソープランド、キャバレー、スナックなどの店で人に接する役務に従事するよう勧誘することや、アダルトビデオなどの被写体となるよう勧誘することを禁止します。また、風営法の改正に伴い「特定遊興飲食店営業」の許可を受けた店で人に接する役務に従事するよう勧誘することも禁止します。」

※札幌市ホームページより

 

性風俗店などに関連した勧誘行為だけではなく、卑猥な広告物の掲示なども禁止行為とされ、第5条・第6条・第7条では罰則についても明記されています。

 

「それぞれの禁止行為を行った者には、「50万円以下の罰金又は拘留もしくは科料」を適用します。また、この常習者には更に重い厳罰を適用します。金品を与えるなどをして他人に違反行為をさせた者には、「100万円以下の罰金」を適用し、この常習者にも更に重い罰則を適用します。

また、法人の従業員などが、その業務に関して禁止行為を行った場合は、行為者だけではなく、法人や営業者に対しても罰金を適用します。」

※札幌市ホームページ

 

ススキノ条例の改正による追加事項

平成28年6月にはススキノ条例が一部改正され、それまで性風俗関連の勧誘行為を禁じていた条例の対象を拡大し、不特定の人に対する特定遊興飲食店への稼働勧誘行為も禁止されることとなりました

 

警察庁では「特定遊興飲食店」について、以下のように定義しています。

 

「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業( 客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前6時後翌日の午前0時前の時間 においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)」

※警察庁

 

遊興とは客を楽しませる行為のことを指し、たとえばダンスをさせたりカラオケを勧めたり生演奏を聞かせたりするようなことも該当します。このような店のスタッフになるよう勧誘する行為も、条例で禁止されるようになったということです。

 

まとめ

風営法だけではなく、ローカルルールとしてのススキノ条例をいかに理解し、遵守したうえで開業および営業を続けていくかが非常に大切です。できるだけ開業前の段階から専門家に依頼し、法的な問題点を残さないスタートをきれるよう、綿密に準備していきましょう。当事務所では、警察OBを始めとするスタッフや経験豊富な行政書士が対応しますので、ぜひ安心してご相談ください