ダンスをメインとするクラブなどを開業する場合、風営法の定めにしたがって許可をとる必要があります。同時に、クラブに関する警察の見解を参考にして、違反のない営業を実現することが重要になってくるでしょう。ここでは、クラブ開業に必要な許可や警察が公表しているクラブ業態情報について説明していきます

 

クラブが取得すべき許可とは

ダンスをメインとするクラブは、風営法の対象業種となります。さらに、クラブのサービス内容などによっては、特定遊興飲食営業か風俗営業なのか、とるべき許可も変わってくるのです。では、どのような条件に該当すれば、特定遊興飲食営業もしくは風俗営業に該当するのでしょうか。

 

まずは、特定遊興飲食店営業とは大きくどのような形態を指しているのかみていきましょう。

 

特定遊興飲食店営業の形態】

  • 参加型:客がダンスなどの遊興を行うもの

  • 鑑賞型:演奏などの遊興を客に鑑賞させるもの

 

上記の区分で考えると、音楽に合わせ不特定多数の客がダンスを行うクラブは参加型の特定遊興飲食店営業に該当すると考えられます。一方、演奏などの遊興を客に鑑賞させる場合、酒類を提供せず深夜営業を行わなければ、特定遊興飲食店営業の許可をとる必要はありません。逆に酒類を提供し深夜営業も考えているのであれば、特定遊興飲食店営業の許可申請と深夜酒類提供飲食店の届出の両方を行わなければなりません

 

風営法におけるクラブ(ダンス)の定義と警察庁の見解

風営法におけるクラブの営業内容、すなわち客がダンスをする行為について、警察庁生活安全局保安課が公表する資料によれば以下のように定義されています。

 

■風営法におけるダンス

客にダンスをさせる営業は、適正に営まれれば国民に健全な娯楽を提供するものである。

ただし、営業の行われ方いかんによっては、過度の享楽的雰囲気により善良の風俗と清浄な風俗環境が害され、または少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあるため必要な規制を実施する必要がある。
※警察庁生活安全局保安課より抜粋・要約

 

基本的に、ダンスと飲食を合わせて提供する場合は「3号営業に分類され、ペアダンスあるいはペアダンス以外のダンスを問わず客の飲食を伴うものであることから、ダンスホールを含む「4号営業」よりも享楽的雰囲気が過度になるおそれがある、との見解も示しています。なお、盆踊りやヒップホップダンスのように、一般的に男女がペアで踊るものではないダンスは原則的に対象外とされています

 

ダンスの場であるクラブが警察および風営法の規制を受ける理由は、さらに以下のようにまとめることができます。

 

  • 騒音の原因となりやすい
  • 年少者の出入りが起こりやすい
  • 傷害事件や揉め事に発展する可能性を払しょくできない
  • 薬物売買や使用の場となりやすい
  • 女性に対する性的事案にかかわりやすい

 

先に述べた4号営業について、警察庁では具体的な質問に回答しています

 

「設備を設けて客にダンスをさせる営業」警察庁の見解とは

「客に飲食をさせる場合を除き、設備を設けて客にヒップホップダンスや盆踊り等をさせる営業は、ダンスホール等営業(4号営業)として規制される」のか。という質問に対する警察の回答は以下の通りです。

 

■警察庁の見解

風営法第2条第1項第4号において4号営業(ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業)を風俗営業とし、これに対して規制を行う理由としては、このような営業は、その行われ方いかんによっては、男女間の享楽的雰囲気が過度になったり善良の風俗と清浄な風俗環境を害したり、または少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあるからである。

  • 社交ダンスに代表されるような男女がペアとなって踊ることが通常の形態とされているペアダンスを客にさせる営業は、男女間に過度の享楽的雰囲気が生まれる可能性があるため4号営業として規制対象となる

  • ヒップホップダンスや盆踊りなど、通常、男女がペアとなって踊らないダンスを客にさせる営業は、男女間に過度の享楽的雰囲気が生じる可能性があるとは言い難いため、原則として4号営業としての規制対象にならない
    ※警察庁生活安全局保安課より抜粋・要約

 

要するに、ダンスによって男女間の享楽的雰囲気が過度になる可能性がないか、風俗環境を害する可能性がないか、青少年に悪い影響を与える可能性がないか、といった点がポイントとなってくるようです。

 

まとめ

通常、クラブでは酒類およびダンスの場を提供するものですから、その営業が深夜にわたる場合、「特定遊興飲食店営業の許可申請深夜酒類提供飲食店の届出」の両方が必要になりそうです

 

風営法にしたがい正しい営業を行っていくためにも、開業前から専門家によく相談し、適切な許可申請や届出を進めていくことが大切だといえるでしょう。当事務所では、風営法に詳しい警察OBを含めたスタッフと経験豊富な行政書士が対応しますので、ぜひ安心してご相談ください