風営法の対象業種は、その営業時間に規制がかけられています。ここでは、規制が必要とされる理由と規制の具体例について説明していきます

 

風営法の対象業種が営業時間に規制を受ける背景事情

風営法の対象業種は、その営業時間に規制を受けることになります。店側としては規制なく自由に営業を行いたいのが本当のところですが、そうしてはいけない理由が存在するのです。

 

夜間の営業時間に制限がある理由

特に、夜間営業について規制が厳しく設けられていることは知っておかなければなりません。夜間は、一般的に多くの人の心が開放的になる時間帯であり、そこにアルコール射幸心をそそる要素が加わることによって、人の精神はより高揚し理性が緩んでしまいやすくなります。そのような場ほど犯罪に繋がるケースが増えやすく、その事実は賭博や売春などに関する過去の検挙率に表れているといわれるのです。

 

いわゆる「善良の風俗と清浄な風俗環境」を守るためには、営業時間に一定の制限を設け、犯罪に結びつかない営業の形を作り上げていく必要があるといえるでしょう

 

営業時間規制の具体的な例とは

それでは、営業時間の規制は具体的にどのように定められているのでしょうか。その定めは自治体により異なっていますが、ここでは東京都の例を挙げて説明します。

 

風俗営業の営業時間規制

キャバクラやホストクラブ、パチンコやゲームセンターといった業種については、以下のように営業時間が定められています。

 

1号営業(キャバクラ、ホストクラブなど)

深夜営業の禁止(午前0時から午前6時まで)

 

特定遊興飲食店営業(クラブ≒ダンスクラブ、ライブハウスなど)

東京都条例に基づき午前5時から6時までの営業の禁止

 

性風俗関連特殊営業(ソープランド、ファッションヘルス、ストリップ、アダルトショップ、テレクラ、デリヘル受付所)

東京都条例に基づき午前5時から6時までの営業の禁止

※ただし、4号営業(ラブホテル)は対象外

 

酒類提供飲食店営業

スナックやバー、居酒屋などの酒類提供飲食店については、接待行為がない場合に限り営業時間の制限対象外(深夜酒類提供飲食店の届出が必須)です。接待行為がある場合の営業は午前0時までとしています。

 

風俗営業の営業時間について(北海道)

北海道の条例では、原則として深夜0時から午前6時までの間の風俗営業は認められていません。ただし、特定のエリアについては深夜0時を超える営業が認められている場合があります

 

北海道警察が共有している「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」によれば、指定エリアに限り午前1時までの営業を可としています。北海道における指定エリアは種々ありますが、なかでも代表的なのが札幌のすすきの地区北24条地区であり、このほか各地域の繁華街にあたるエリアについては深夜0時を超える営業が認められています。

 

詳しい地域や時間については、直接警察署に確認するか、風営法を取り扱う専門家から助言をもらうかして、風営法および条例に違反しない形での開業・営業を目指すことをおすすめします。

 

【コラム】北海道における風俗営業の営業時間

風営法第13条第1項では、風俗営業の営業時間について「午前0時から午前6時までの深夜に営んではならない」とさだめています。このため、該当する店舗は午前0時までしか営業できません。ただし、風営法だけに縛られるのではなく、各都道府県の条例の影響も受けることから、以下のような例外に当てはまる場合は午前0時以後も営業することができるとしています

 

  • 地域の祭典が行われる場合
  • 上記以外の日で、午前0時以降風俗営業を営むことができる地域

 

風営法は全国一律に規制するものではなく、各地域の特性に合わせる目的から、法律・条例の適用関係を以下の順にしたがい委ねています

 

風営法

→風営法施行令(全国的に通用する規制の大まかな基準)

→風営法施行条例(都道府県)

→公安委員会告示(都道府県)

 

これにより、全国的には午前0時までと制限されている営業時間も、北海道では午前1時まで可能となっているのです。公安委員会公示では、この施行条例第4条第3項に基づき、以下のように定めています。

 

  • 地域の祭典が行われる場合」→「全道で指定日・指定地域を58か所指定

  • 上記以外の日で、午前0時以降風俗営業を営むことができる地域」→「ススキノ地区や北24条、琴似など歓楽街が存在する13か所の地域を指定

 

さらに、北海道の施行条例第4条第3項では、1に関してすべての風俗営業が該当となり、2に関しては、パチンコ店を除く接待飲食等営業(キャバレー、待合、料理店、カフェ、マージャン店)について午前1時までの営業を可能としています。

 

まとめ

風営法に則った営業時間の定めは、さらに各自治体の条例により細かく指定されていますので、地域のローカルルールに強い専門家の力を借りて、開業および許可申請や届出の準備をすることが望ましいでしょう。自力で情報を調べ、届出を行うこともできますが、法令や条例にかかわることですので、間違いや勘違いがあってはいけません。風営法の対象になる業種を営むには、細かなルールをきちんと確認し不備なく準備を進めていくことが大切なのです。

 

当事務所であれば、風営法に詳しい警察OBを含むスタッフと経験豊富な行政書士が対応しますので、特に札幌市における開業を目指す人にはぜひお気軽にご相談ください。