平成28年に改正された風営法により、特定遊興飲食店営業という新たな形態が新設されました。深夜営業で酒類を客に提供し遊興させる場合、特定遊興飲食店営業の許可が必須になったのです。ここでは、特定遊興飲食店の定義や遊興の範囲について説明していきます。
特定遊興飲食店とはどういうものか
特定遊興飲食店営業に関して以下のように定義されていますので、自分の店が当てはまるかどうか確認してみましょう。
特定遊興飲食店営業とは
- 午前0時以降に営業
- 客に酒類を提供する
- 客に遊興させる
大きく上記3つの条件を満たす店について特定遊興飲食店営業の許可が必要になり、許可の申請は、店舗の住所を管轄する警察の生活安全課に対して行い、同じく住所を管轄する公安委員会により許可がおります。同時に、飲食提供のための店であることから、食品衛生(飲食店営業)の許可を保健所から得る必要も出てきます。ただし、実際の申請においては、担当者の裁量が大きく影響することから、厳密な判断基準を導き出すことは適切ではないといえるでしょう。
特定遊興飲食店営業に関する規定
特定遊興飲食店営業に関する規定とは、店舗を置く地域や営業制限時間、店舗周辺に与える騒音や振動についてその上限などを定めるものです。
【申請手数料】
3ヶ月以内の営業:14,000円
その他に当てはまる場合:24,000円
【ゲームセンターへの少年の出入りについて】
法改正前:午後6時以降は16歳未満の少年を入場させてはいけない
法改正後:午後6時以降~午後10時までの間に16歳未満の少年を入場させる場合は保護者の同伴を必要とする
「遊興」とはどういうものか
特定遊興飲食店営業では客に遊興させるかどうかが該当基準のひとつになりますが、具体的にどのような行為が遊興に当たるのでしょうか。
遊興に該当する行為
不特定多数の客に対して歌や踊りなどを見せることは接待に当たるとされていることから、「客に遊興させている状態」と考えることができます。同じ理由から、生演奏バンドなどの音楽を聴かせる行為も、深夜0時を超えて行ってはなりません。また、カラオケなどを客に勧めたり積極的に盛り上げたりすることも、接待に該当するとされ客に遊興させる行為だといえます。具体的な例を挙げてみましょう。以下は、不特定多数の客に対する行為です。
- ダンスやショー、生歌唱や生演奏などを見せたり聴かせたりすること
- ダンスをさせる場を設置しダンスさせることや照明を落としたり音楽をかけたりすること
- ゲームなどに参加させること
- カラオケ設備を設置し客に歌唱を勧めたり合いの手や拍手を送ったり褒めはやしたりすること
- スポーツ映像などを配信して客に観せて応援を勧めたりすること
遊興に該当しない行為
一方、同じ条件でも客に積極的な参加を求めない場合などは、遊興に該当しないことがわかります。
- カラオケボックスのようにカラオケを設置した店舗を客に使用させること
- カラオケを不特定の客が自ら利用することを望んだとき、マイクなどを渡しカラオケを作動させること
- ガールズバーやメイドカフェなどにおいては、ショーやゲーム大会を提供することなく、単に飲食物を提供すること
- ボーリングなどのゲーム設備を備え、不特定の客が自らの意思で自由に使用できるようにすること
- スポーツ映像などを配信して客に観せて客が自らの意思で応援すること
まとめ
特定遊興飲食店営業はこの数年で改正されたものであることから、すべての事業者がその決め事を把握しきっていない可能性もあります。しかし、正しい許可を得ないまま営業してしまうことは非常にリスクが高いため、専門家の力を借りて深夜店舗の開業を目指すことをお勧めします。一方、酒類を提供しなかったり深夜0時から6時までは営業しない形態をとったりする場合は、特定遊興飲食店営業の許可が不要になる可能性もあるので、専門家への相談はぜひ積極的に行うべきでしょう。