通称「風適法」の改正によって新設された特定遊興飲食店営業の許可を申請するためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。ここでは、申請における要件や札幌ススキノの条例について説明していきます

 

申請における各種要件について

申請における人的要件とは

申請における人的要件は、基本的に風俗営業許可と同様になります。以下に該当する場合は申請することができないので注意しましょう。

 

  • 破産手続き開始決定を受け復権していない場合
  • 1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、執行終了後5年を経過していない場合
  • 暴力団
  • アルコール、麻薬、大麻、覚せい剤の中毒者
  • 過去に風俗営業を取り消されたことがあり5年を経過していない場合

 

申請における設備的要件とは

特定遊興飲食店営業を行うためには、店内について以下の通り設備的要件を満たしている必要があります

 

  • 客室床面積が1部屋あたり33㎡以上であること
  • 客室内部の見通しを妨げるようなついたてや壁などを設けていないこと
  • 善良、正常な風俗環境を害する、または青少年の健全な育成に影響を及ぼすような写真や広告、装飾を施していないこと
  • 客室にカギを付けてはいけないが、外に通じる出入口にはカギを付けてもいい
  • 店舗内の照明は10ルクス以下にしないこと
  • 地域条例などにしたがい、騒音や振動が基準値以下になるよう店舗内に何らかの設備を設けること

 

札幌ススキノ条例における特定遊興飲食店営業

ススキノ条例とは、「札幌市公衆に著しく迷惑をかける風俗営業などに係る勧誘行為などの防止に関する条例」のことをいいます。この条例により、道路など公共の場で不特定の相手に接する行為が禁止されています

 

従来、札幌市ススキノ地区を中心として、以下のような行為・状態が当たり前となっていました。

 

  • 公道を通行する女性に声をかけ性風俗点勤務に勧誘する行為
  • 卑猥(ひわい)なビラや看板の設置
  • これらビラや看板を設けることによる性風俗店への案内行為
  • 風俗店案内所における卑猥(ひわい)な広告などの掲示

 

既存の条例などではこういった行為・状態の取り締まりが非常に難しかった一方、多くの住民が規制を求めていたことがアンケート調査により判明しました。このことを受けて札幌市は、住民の安全安心な生活環境を守るために、上記迷惑行為・状態について罰則を設け条例で禁止することとなったのです。

 

具体的には、ススキノ条例第2条第1項第1号の改正によって、風営法に追加された特定遊興飲食店営業における不特定の人への勧誘行為を禁じました。条例は、平成28年6月に施行され、それ以降札幌ススキノ地区では、路上での女性勧誘行為がなくなり、卑猥(ひわい)な配布物や看板なども見ることがなくなったのです。現在ススキノ地区を見渡してみると、性風俗店と思われる店舗や風俗店案内所の存在は確認できますが、露骨な表現や看板などは使用されていないことがわかります。

 

まとめ

札幌市ススキノ地区以外も規制の対象となり、「市道北8条線」や「市道西7丁目線」といったように対象地域は事細かに示されており、これら地域での取り締まりは特に強化されているといっていいでしょう。ただし、風営法に基づく警察の取り締まりは、現場を見て判断する担当者の裁量に委ねられるところもあるため、「この地域なら大丈夫だろう」と自己判断することなく、どの担当者が確認に来てもOKが出るような状態を作っておくことが肝心です。

 

風営法やススキノ条例をクリアするためには、まず法律や条例の中身をよく理解するところから始めなくてはなりません。しかし、知識や経験を持たない人にとって法律や条例は非常に難しく感じるものでもあります。当事務所であれば、札幌市ススキノ地区の風俗営業に詳しい警察OBを含め、経験豊富な行政書士がご相談にのりますので、ぜひお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。