風俗営業4号に分類されるパチンコ店を新規開業するためには、北海道公安委員会に対して営業許可申請を行い、許可を得る必要があります。依存症などにつながりやすい「射幸心」を強くあおる遊技であることからパチンコ店に対する規制は厳しくなっており、申請時には条件をきちんとクリアしたうえで書類にも不備がないようにしなければいけません。ここでは、パチンコ店が風俗営業許可を申請するために不可欠な4つの要素と申請書類について説明していきます。
パチンコ店が風俗営業許可を得るために不可欠な4つの要素
パチンコ店が風俗営業許可を得るためには、以下の4つの基準をしっかりと満たしている必要があります。それぞれの基準についてみていきましょう。
場所的基準
パチンコ店を開業できる場所は限られており、各自治体が条例により用途地域の制限を明確に指定しています。札幌市の場合は以下の基準を設けており、パチンコ店はこれに従って出店する必要があるのです。ただし、用途地域の基準を満たしていたとしても、学校や病院、図書館などの施設が周囲の一定範囲内にある場合は営業ができませんので注意しましょう。
札幌市が指定する【用途地域の制限の概要(一覧表)】
【パチンコ店開業の可否】
※×印は開業不可・▲印は敷地が10,000㎡以下であること・〇印は開業可
×第1種低層住居専用地域
×第2種低層住居専用地域
×第1種中高層住居専用地域
×第2種中高層住居専用地域
×第1種住居地域
▲第2種住居地域
▲準住居地域
〇近隣商業地域
〇商業地域
〇準工業地域
▲工業地域
×工業専用地域
各自治体により場所的要件は変わることがあり、保全対象施設があったとしても公安委員会により出店が認められる場合があります。
人的基準
許可を受けたい営業者や管理者などが満たすべき基準を人的基準といいます。以下に該当する場合は基準を満たしていないと見なされ、許可申請を行うことができません。
- 破産手続開始の決定を受けたがまだ復権していない人
- 対象となる法律に違反して懲役刑や罰金刑に処せられ、その執行が終了するなどしてから5年を経過していない人
- 集団的あるいは常習的な暴力行為や不法行為を行うおそれのある人
- 以下の中毒者(アルコール・麻薬・大麻・あへん・覚せい剤)
- 過去に風俗営業許可を取り消されたことがあり、そこから5年を経過していない人
- 未成年者(営業に関して成年者と同じ程度の行為能力を持たないため)
- 法人役員が上記の欠格事由に該当する場合
法人の場合は、事業者本人だけではなく役員などについても人的基準が適用されますので、あらかじめ注意しましょう。
構造設備基準
パチンコ店を新規に建築する場合、法に定められた厳密な基準を満たすよう細心の注意をはらって設計図を描くようにしましょう。具体的な基準は以下の通りです。
- 店内の見通しを妨げるような設備を設けない
- 善良の風俗もしくは清浄な風俗環境を害する恐れのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けない
- 客室の(外とつながる)出入口を施錠できるようにしない
- 店舗の照度が10ルクス以下とならない
- 騒音または振動の数値が条例の基準値を満たしている
- 営業のために必要な遊技機以外の遊戯設備を設けない
- 店内の客の見やすい場所に賞品提供設備を設ける
これらの基準は厳密に検査されますので、正しい設計図を描きこれに忠実に基づいた店舗を建築しなければなりません。風営法に詳しい専門家のサポートを積極的に受けながら、開業までの準備を進めていきましょう。
遊技機基準
パチンコ遊技は、客の射幸心を著しく刺激するものであってはなりません。この点を遵守させるために、都道府県警(公安委員会)では遊技機の認定制度を設けています。したがって、新しい遊技機を客に使用させる前には必ず公安委員会による検査を受け、合格したものに限り遊技機として設置することが可能になるのです。なお、公安委員会がチェックするポイントは以下の通りです。
- 遊技球(玉)の発射性能
- 玉を入賞させる性能
- 入賞を容易にするための「役物」装置の性能
- 遊技球の大きさに対する入賞口の大きさ
- 発射装置の性能
- 容易に不正な改造や変更が可能ではないかどうか
風俗営業4号の許可申請書類一覧
風俗営業4号の許可を得るためには、以下に挙げる書類一式を揃えて警察(公安委員会)に申請を行う必要があります。書類は多岐に渡り、図面など専門的知識を要するものもあるので、風営法に詳しい専門家のサポートを受けながら準備することを強くお勧めします。
風俗営業4号許可申請書類
- 風俗営業許可申請書
- 営業の方法
- 住民票の写し
- 欠格事項に該当しない旨の誓約書
- 誠実に業務を行う旨の誓約書
- 身分証明書
- 登記されてないことの証明書
- 営業所使用権原を証明する書類
- 賃貸契約書の写し
- 営業所の使用承諾書
- 建物登記簿謄本
- 違法建築物でない旨を疎明する書類
- 用途地域を証明する書類
- 各種図面
- 営業所周辺の概略図
- 営業所の配置図
- 求積図
- 照明・音響・防音設備の配置図
- 定款・登記事項証明書(法人)
- 管理者の顔写真(2枚)
- 遊技機に関する書類
- 認定を受けたことを証する書類
- 検定を受けた型式に属することを証する書類
- 構造等の説明書及びその写真
当事務所では、風営法に詳しい警察OBを含むスタッフと経験豊富な行政書士が対応しておりますので、書類収集のお手伝いや専門的助言を行うことが可能です。
まとめ
風俗営業許可を取得すること自体が簡単ではないなか、さらに厳しい要件を満たす必要のあるパチンコ店を開業するとなれば、風営法および周辺知識を熟知した専門家のサポートが欠かせません。自分で取り組むことは不可能ではありませんが、多大な手間がかかるだけではなく、特に法律面で正しい解釈ができずあとから不許可になるリスクも生じます。ぜひ一度、当事務所までご相談いただき、疑問点や不安点など一つひとつ解決していきましょう。