「もしかしたら当たるかもしれない」「勝つかもしれない」といった、いわゆる射幸心を刺激するような遊技を提供する場合、その店舗は風俗営業許可を取得しなければなりません。マージャン店(麻雀店)もその1つです。ここでは、適用される風営法の種類と許可申請における注意点について説明していきます。
マージャン(麻雀)店は風俗営業4号の対象
風俗営業4号の基本的な定義は、「麻雀屋、パチンコ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」であるとされています。ポイントは「射幸心をそそる」という部分にありますので、マージャン(麻雀)店だけではなく、パチンコ店なども該当することになります。
「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」
※風営法第2条第1項第4号
遊技料金の規制
風俗営業4号に該当するマージャン(麻雀)店の遊技料金は、上限が厳密に定められています。
【客1人あたりの時間により遊技料金を計算する場合】
- 全自動式の麻雀台:1時間600円
- その他の麻雀台:1時間500円
【麻雀台の台数により遊技料金を計算する場合】
- 全自動式の麻雀台:1時間2,400円
- その他の麻雀台:1時間2,000円
マージャン(麻雀)店の開業許可申請における注意点
マージャン(麻雀)店は風俗営業4号に該当しますので、以下のような点に注意して開業の準備を進めていきましょう。
店舗の場所
マージャン(麻雀)店は風俗営業ですから、場所的規制を受けることになります。性風俗特殊営業ほど厳しくはないものの、どのようなエリアであれば開業許可を得ることができるか、事前に専門家や警察に確認しておくことが大切です。
店舗設備の高さ
風営法では、客室の見通しをさえぎるような構造や設備を認めていませんので、マージャン(麻雀)店であれば麻雀卓やイスの高さには特に注意する必要があります。もし、設備の高さが1m以上であれば風営法違反となりますので、高さ99.9㎝までの卓やイスを設置した方が無難でしょう。イスは油圧式で高さを変えられるものがありますが、このタイプのイスを使っている場合はイスの高さを最大まで挙げて警察が測量します。
賭け麻雀を思わせる掲示物
仮に賭けマージャン(麻雀)が行われていた場合、レートが店内に掲示されていることもあるようです。お金を賭けたマージャン(麻雀)は賭博であり、罪に問われますので、賭けマージャン(麻雀)の実施はもちろん掲示物があってもいけません。
また、これらの掲示物は射幸心をそそるものとしてみなされますので、賭けマージャン(麻雀)店でなくとも注意した方がいい点になります。どのようなものが「射幸心をそそるもの」としてみられる可能性があるかは、風営法に詳しい専門家または警察に確認してみるといいでしょう。
客室の施錠
店外への出入り口を除き、客室内には施錠の設備を設けてはいけません。
店舗内の明るさ
店内の明るさが10ルクス以下の場合、風営法違反となりますので、常に10ルクスを超えるような構造あるいは設備の用意が求められます。
騒音や振動
騒音や振動については自治体の条例により数値が定められています。北海道の場合は条例で55デシベルまでとなっていますが、特に音に注意した方がいいエリアでは50デシベルまでとしています。
まとめ
マージャン(麻雀)店を開業する際には、物件の構造や卓、イスなどの設備に細心の注意を払わなければなりません。風営法をよく理解しないまま物件契約や設備投資してしまうことは避けたいところです。当事務所では、風営法に詳しい警察OBを含むスタッフと経験豊富な行政書士が対応しておりますので、ぜひ開業準備の時点からご相談いただき、違反とならない出店計画を立てていきましょう。