パチンコ店の営業許可は風営法4号に該当し、申請における要件も細かく指定されています。ここでは、パチンコ店の営業許可の概要に加え、4つの申請要件について説明していきます。

 

パチンコ店の営業許可概要について

風営法ではパチンコ店を第4号営業に分類しており、店舗所在エリアの公安委員会から許可を得なければ営業することができません。

 

【第4号営業】

麻雀屋、パチンコ屋その他について設備を設けて客に射幸心をそそる可能性のある遊技をさせる営業

 

一方、風営法第20条第1項では、射幸心をそそる遊技について以下のように定めています

 

【風営法第20条第1項】

風俗営業者はその営業所に、著しく客の射幸心をそそる恐れがあるものとして同項の国家公安委員会規則で定める基準に該当する遊技機を設置してその営業を営んではならない。

 

パチンコ店の営業においてポイントとなってくるのが「射幸心」という考え方であることがわかります。射幸心とは、財産をより多く得ようとして勤労意欲まで低下してしまうような心理状態を指しますが、ギャンブル依存症の可能性を踏まえても、パチンコ店が提供する遊技設備や遊技方法については規制を厳しくしているのが現状です。

 

パチンコ店の営業許可を得るための4つの要件とは

射幸心に関する事柄を含め、パチンコ店を営業するためには次の4つの要件を満たす必要があります。それぞれについて説明していきましょう。

 

  • 場所的基準
  • 人的基準
  • 構造設備基準
  • 遊技機基準

 

場所的基準

パチンコ店はどこにでも出店できるわけではなく、都道府県条例により具体的に定められています。原則的に、以下に該当するエリアでは営業することができません。

 

  • 第1種低層住居専用地域
  • 第2種低層住居専用地域
  • 第1種中高層住居専用地域
  • 第2種中高層住居専用地域
  • 第1種住居地域
  • 第2種住居地域
  • 準住居地域

 

また、上記以外のエリアであっても、そこに学校や病院、児童福祉施設や図書館といった建物がある場合は、その敷地を含む一定の範囲内でパチンコ店の営業を行うことができません。

 

北海道における場所的要件については、直接警察署に確認するか、依頼する行政書士を通して確認したうえで出店を検討することが大切です

 

人的基準

許可を得ようとするパチンコ店の営業者や管理者、法人役員などについて、以下に該当する人物がいる場合は許可申請することができませんので注意が必要です

 

  • 破産手続開始の決定を受けてまだ復権していない人
  • 法律に反して懲役刑や罰金刑に処せられた後、その執行を終わるなどしてから5年を経過しない人
  • 集団的や常習的に暴力行為や不法行為を行うおそれのある人
  • アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤の中毒者
  • 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない人
  • 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
  • 法人でその役員が上記の欠格事由に該当する場合

 

構造設備基準

パチンコ店を営業するためには、以下に挙げる基準を満たしていなければなりません。建物を建てる際は、その設計段階から慎重に確認を重ねていくことが求められます

 

  • 店内の見通しを妨げるような設備を設けない
  • 善良の風俗もしくは清浄な風俗環境を害する恐れのある写真、広告物、装飾その他の設備 を設けない
  • 客室の出入口に施錠の設備を設けない
  • 営業所内の照度が10ルクス以下とならない
  • 騒音または振動の数値が条例で定める数値を満たしておく
  • 営業で使用する遊技機以外の遊戯設備を設けない
  • 店内の客の見やすい場所に賞品を提供する設備を設ける

 

初めてパチンコ店を建てる場合は特に、風営法の専門家と連携しながら設計を進めていく必要が出てくるでしょう。

 

遊技機基準

パチンコ店に設置される遊技機と射幸心の関係性は非常に重要視されます。著しく客の射幸心をそそる恐れがないよう、認定制度が設けられているのもこのためです。パチンコ店営業に際しては、都道府県公安委員会が遊技機をチェックしOKを出した型式のみを使用することができます。認定制度としては、以下に挙げる点をチェックしていきます。

 

  • 玉(遊技球)の発射性能
  • 玉を入賞させる性能
  • 入賞を容易にするための「役物」装置の性能
  • 玉(遊技球)の大きさに対する入賞口の大きさ
  • 玉の発射装置の性能
  • 不正な改造や変更を容易に可能とするものではないか

 

この他、遊技に使用する玉やメダルの換金額も厳しく定められています。なお、換金率を店内に表示するなどの行為は認められていません。

 

まとめ

パチンコ店を営業するためには、営業者と店舗の両方について審査され、最終的には都道府県公安委員会が許可を与えるかどうかを決定します。すべての審査項目をクリアしできるだけスムーズに営業にこぎつけるためにも、警察OBを始めとするスタッフや経験豊富な行政書士が対応する当事務所に、ぜひ一度ご相談ください。