風俗営業を行っている場合、ときに「来店した客が未成年のようだ」「応募者が未成年と思われる」といったケースに出くわすことがあります。このとき営業者は、「おそらく大丈夫だろう」という感覚で未成年を受け入れてはいけません。ここでは、風営法における未成年の扱いについて説明していきます

 

未成年に対する具体的な規制とは

風営法では、未成年者に対して以下のような規制をかけています。たとえば以下のような規制を主なものとして挙げることができます。

 

未成年者は風俗営業の許可を取ることができない

風営法第4条第1項第8号により、未成年者は欠格事由に該当します。したがって、未成年者が風俗営業の許可を取ることは原則として不可能です

 

未成年者(18歳未満)が風俗営業店に客として出入りすることはできない

風俗営業に分類されるキャバクラやホストクラブ、パチンコなどの店は、未成年者が入店することができません。営業者にも、18歳未満の入場を断る旨の掲示を行う義務があります。

未成年のゲームセンターへの立ち入りに関しては、北海道の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」の第9条が根拠となります。「風俗営業5号の営業を営む風俗営業者は、午後6時後午後10時前の時間において16歳未満の者を営業所に客として立ち入らせてはならない。ただし、保護者が同伴する16歳未満の者については、この限りでない。」としています。
※参照:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(北海道)

 

未成年者(18歳未満)が接待を行うことはできない

キャバクラやホストクラブなどの風俗営業において、18歳未満の者に接待をさせることはできません。これら風俗店の募集広告を見ても、応募条件を「18歳以上」としていることがわかります。

 

未成年者(18歳未満)が接客を行うことはできない

風俗営業や特定遊興飲食店営業において、22時から翌朝6時までの間に未成年者が接客を行うことはできません。なお、店舗型性風俗特殊営業や無店舗型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業などの風俗店については、時間の指定なく未成年者による接客が禁じられています。

 

未成年者(18歳未満)に対し店舗で酒類やたばこを提供することはできない

「1回くらいならいいか」という感覚で、未成年者に酒類やたばこを提供しないよう気を付けなければなりません。未成年者のなかには大人びた風貌の者もいるため、未成年者かどうか疑われる若い客に対しては、年齢確認を行うことが大事です。なお、18歳になっていれば入店は可能なものの、酒類やたばこの提供は禁じられていますので、この点についても注意しましょう。

 

未成年者飲酒によるトラブル事例

国税庁では、未成年者飲酒トラブル事例の一覧を公開しています。たとえば以下のようなケースがあり、刑事事件として扱われている事例もみられます。

 

未成年者266人による校内での集団飲酒(中三女子6人含む)

高校生がコンビニエンスストアで酒を買い飲酒した末に水死

酒を売った店は未成年者飲酒禁止法違反容疑により書類送検

高校の「打ち上げ」で飲酒・喫煙

前項の4分の1以上が停学処分を受ける

中学生がコンビニエンスストアで酒を買い飲酒の末に急性アルコール中毒

酒を売ったコンビニエンスストアと店員を書類送検

※「未成年者の飲酒事例」より抜粋

 

未成年者が酒を手に入れるためには、店舗などから購入する必要があります。未成年者が酒を購入しないよう努めるのは店側の義務とされているのです。このことは、未成年者飲酒禁止法に定められています。

 

まとめ

風営法における未成年者の扱いや禁止事項、トラブル事例について解説しました。重要な点としては、未成年者本人にも何らかの処分が下される一方で、刑事事件などとして罪に問われてしまうのは、18歳未満の者を入店させたり飲酒・喫煙させたり、あるいは販売したりした営業者の側であるということです。このような事態を避けるためには、入店させる前や販売前に、客が未成年者ではないかどうか厳密にチェックするしかありません。

 

風営法に関していえば、未成年者の入店や雇用に際し十分な注意を払う必要がありますので、開業準備の時点から法律で禁止されている事柄をよく理解し、対策を練っておくといいでしょう。当事務所では、風営法に詳しい警察OBを始めとするスタッフや経験豊富な行政書士が対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。